日本ダービーに感動した話
今回はそんな日本ダービーと福永騎手について書いて行こうと思います。
というのも、僕の馬券が外れて不貞腐れながらツイッターを眺めていると、こんな呟きがあったからなんです。
キングヘイロー「落ち着いていけよ」
ワールドエース「人気でも気負うなよ」
エピファネイア「仕掛けは早まるなよ」
リアルスティール「距離不安でも前目につけろよ」
福永祐一「わかったで」
もとはネットの書き込みらしいんですけど、非常に胸を打つ言葉だと思います。
そもそも日本ダービーというレースは1年の中で一番大きなレースといっても過言ではありません。このレースの特徴は現3歳馬の頂点を決める戦い、換言すればある年に生まれたサラブレッドの最強決定戦です。
現3歳馬しかでれないのでどの馬もでれる機会は一生に一度だけ、そしてジョッキーはそんな馬の栄誉をかけレースに臨みます。
福永騎手はデビュー3年目の時、2番人気のキングヘイローに騎乗します。しかし、若さ故か緊張か全く馬と折り合いが合わずオーバーペースでかかってしまいます。
結果は惨敗、これが福永騎手にトラウマになったのか彼の騎乗スタイルはここから中団からやや後方で折り合い重視の騎乗をしていくようになっています。
しかし、先行馬が有利な傾向の日本ダービーで彼のスタイルで勝てるはずもなく、実力のある馬に乗っても勝てないことが続きます。
馬にとっては一生に一度の晴れ舞台、騎手にとって馬を勝たせてあげられない悔しさや無力感は計り知れないでしょう。
そして迎えた今年の日本ダービー、福永騎手騎乗のワグネリアンは大外17番枠を引いてしまいます。一般的にダービーは内枠が圧倒的に有利で、大外枠はかなり不利なスタート枠です。しかし、今年の福永騎手は違いました。
見事なスタートを決めると位置をぐんぐん押し上げ先行集団絶好のポジションを取ります。迎えた直線では、有力馬二頭の進路をシャットアウトし、最後は見事に逃げていたエポカドーロを差し切りました。これ以上ない騎乗だったと思います。
キングヘイローの失敗があった
ワールドエースの後悔があった
エピファネイアの悔しさがあった
リアルスティールの躊躇があった
かつて勝たせられなかった馬たちの無念さを背負い、過去の自分を乗り超え福永騎手はダービー挑戦から19年目にして栄光を手にしました。
レースの後に必然性があること、これが競馬の魅力だと僕は思っています。ダノンプレミアムが怪我をした、ブラストワンピースは出遅れた、そういったことに加えて福永騎手のこれまでのレースの軌跡、色んなものが重なって今年のダービー結果につながってくるのでしょう。必然性を見出すというのはレースを俯瞰している者のエゴかもしれませんが、単純にレース結果だけでなく試合の奥行きまで感じとれるというのが競馬の面白いところでしょう。